家の顔とも言える外壁。その中でも、コストパフォーマンスの高さと優れた耐久性で、日本の家屋に広く採用されている「サイディング」について、あなたはどれくらい知っていますか?サイディングと一言で言っても、その種類は多岐にわたり、選び方によっては、あなたの家の性能や外観を大きく左右します。
この記事では、サイディングの基本から、選ぶ際の重要ポイント、さらには長期間メンテナンスフリーで楽しめる製品まで、豊富な情報を網羅的にご紹介します。サイディングを選ぶ際の不安を解消し、あなたの理想とする住まい作りをサポートする内容となっています。
外壁の美しさを保ちながら、長期間にわたって快適な住まいを維持するためのサイディング選び。サイディングの種類とその特徴、賢い選び方が明確になり、より良い住宅選びをしていきましょう!
サイディングについての基礎知識、住宅外壁材の選択肢としてのメリットとデメリット
住宅の外観を決定づける重要な要素として、外壁材の選択は非常に重要です。その中でも特に注目されているのが「サイディング」ですが、その魅力とは何でしょうか?本記事では、サイディングの基本知識、そして他の外壁材との比較を通して、そのメリットとデメリットを詳しく解説します。
サイディングは、その施工方法である「乾式」に分類され、工場で予め生産された板材を用いて外壁を構築する方法です。これは、モルタルや土壁、漆喰などを使う「湿式」施工とは異なり、建材を接着剤で貼り付ける手法です。乾式施工の利点は、建材が既に乾燥しているため施工速度が速く、外壁の品質が均一である点にあります。
サイディングの種類には、セメント製や金属製などがあり、それぞれに特徴があります。本記事を読むことで、サイディングの基本から、あなたの住宅に最適な外壁材を選ぶためのポイントが明確になります。サイディングを選択する際の疑問を解消し、理想の家づくりに一歩近づきましょう。
サイディングが人気を集める3つの理由
新築注文住宅の外壁材として圧倒的な人気を誇るサイディング。その理由は、耐久性、コストパフォーマンス、そしてデザイン性の三つの大きな魅力にあります。では、なぜこれほどまでにサイディングは支持されているのでしょうか?サイディングが選ばれる3つの主な理由を深掘りし、その秘密に迫ります。
1)圧倒的な耐久性と耐用年数
サイディングが多くの注文住宅で採用されるようになった理由の一つに、耐用年数の長さがあります。
取り扱うメーカーや材質によっても異なりますが、サイディングボードの耐用年数は約20~40年程度と言われています。あらかじめ工場で作られた頑丈なタイルを貼り付けるため、モルタルと比較して耐用年数が長い傾向にあるのです。
ただしサイディングボード自体の耐用年数が長いとはいえ、それ以外の部分のメンテナンスは必要です。サイディングボード表面に施された塗装や、板をつなぎ合わせるために使用するコーキング(シーリング)部分は10年程度で劣化すると言われています。美しい外観を保ち、水漏れを防ぐためには、メンテナンスを定期的におこなうことが重要です。
2)優れたコストパフォーマンス
サイディングは、コストパフォーマンスに優れている点も大きな魅力です。サイディングボードを使用した外壁工事は、モルタルなどの湿式工法と比較して安く壁を仕上げられるというメリットもあります。
サイディングボードは素材自体が安価で、さらに工場で大量生産されるという特徴から、ほかの外壁材と比較して安い価格で壁を仕上げられるというメリットがあります。
注文住宅の中でも、外壁は工事面積が広い分費用がかさみがちです。サイディングボードの中でも、のちに紹介する窯業系サイディングや金属製サイディングは特に価格がリーズナブルなため、コストを抑えて理想の家を建てることが可能になります。
3)豊富なデザイン性
ほかの外壁材よりもデザイン性が高いのもサイディングの特徴です。
サイディングには大きく分けて4つの種類があり、デザインやカラー展開が非常に豊富です。ナチュラルな印象のデザインやモダンなカラー、シックな質感のものなどさまざまで、「こんなイメージの外観にしたい」という希望にあったデザインが見つかりやすいという魅力があります。
職人が手作業で塗るモルタルなどと比較するとやや高級感に物足りなさを感じることもありますが、工場で大量生産している分品質にばらつきがなく、職人の技術による仕上がりの差が生まれない点には安心感があると言えます。
サイディングを選ぶことは、耐久性、コストパフォーマンス、デザイン性のバランスを重視する上での最適な選択と言えるでしょう。サイディングの持つポテンシャルを最大限に活用し、理想の住宅造りを実現させましょう。
サイディングの4つの種類と特徴
サイディングボードは下記の4つの種類に分類できます。
・窯業系サイディング
・金属系サイディング
・木質系サイディング
・樹脂系サイディング
ここではそれぞれの特徴について詳しく解説します。
窯業系サイディング
近年建てられている注文住宅のほとんどに使われているのが「窯業(ようぎょう)系」と呼ばれるサイディングです。
窯業系サイディングはセメント質と繊維質を混ぜ合わせて作られた板で、4種類の中でも特に耐火性が高く価格も安いという特徴を持ちます。
デザインやカラーのラインナップが最も豊富なのも窯業系サイディングで、シンプルなデザインなものだけでなく、レンガ風・タイル調・石積み調など、建てたい住宅のイメージに合わせて選択できる点が魅力です。
金属系サイディング
「金属製サイディング」はガルバリウムやアルミニウム、ステンレスなどの鋼板が使用されたサイディングです。
窯業系サイディングよりも価格は高くなりますが、その分耐久性が高く浸水しにくいため、メンテナンスの頻度が少なくて済むというメリットがあります。
また耐候性に優れている点は、ほかのサイディングにはない特徴です。風雨や温度変化、太陽光による劣化や変質を起こしにくいため、気温変化の激しい寒冷地などの地域で多く採用されます。
木質系サイディング
自然の温かみを取り入れたいという人におすすめなのが「木質系サイディング」です。
天然の木材に塗装を施して作り上げるため、1つとして同じ木目・デザインにならないという個性が魅力です。
木質系サイディングの機能面の特徴としては、断熱性の高さが挙げられます。天然の木材は熱を吸収しにくく室内の温度を一定に保ってくれるため、直射日光を受けやすい場所に家を建てる場合や、気温の高低差の激しい地域で家を建てる際におすすめです。
樹脂系サイディング
4種類あるサイディングボードの中でも、メンテナンスの手間が少ないとされるのが「樹脂系サイディング」です。
日本でよく使用されている窯業系サイディングは、ボードの隙間をシーリングで埋めることで張り合わせ、その上から塗装を施して仕上げます。サンディングボード自体の耐久性が高くても、シーリングと塗装の劣化によるメンテナンスが必要なため、完全にメンテナンスフリーとすることは難しいと言えます。
それに対して樹脂系サイディングは、サイディングボード自体に顔料を練り込んで作られており、さらにシーリングを使用せずに貼り付けるため、メンテナンスや補修工事の必要がないのです。
日本国内では樹脂系サイディングを取り扱っているメーカーが少なく、国内シェア率は1%程度にとどまっています。施工のためには対応している業者を探す必要がありますが、メンテナンスの手間を極力減らしたいという方は検討してみてはいかかでしょうか。
長持ちするサイディングボードの一例
塗装やシーリングの定期メンテナンスが必要なサンディングボードですが、近年では多くの建材メーカーが、長期間お手入れ不要のサンディングボードの製造販売を進めています。
ここでは「劣化しにくい外壁塗装」と「太陽と雨の力を利用したセルフクリーニング」に着目した、2つのメーカーについてご紹介します。
自然素材の風格が長持ちする窯業系サイディング
ニチハ株式会社のプレミアムシリーズは、雨風や直射日光の影響を受けにくい超高耐候塗料「プラチナコート30」を採用しているのが魅力。約10年ごとのメンテナンスが必要とされている外壁塗装に対して30年間の保証サービスをおこなっており、メンテナンスコストの大幅な削減を実現しています。
石柄や木目調などのナチュラルなデザインだけでなく、高級感のあるモダンな色合いや質感のサイディングもラインナップ。美しい外観を長期間保ちたいという方からの支持を集めています。
40年間お手入れ不要の「光セラ」
外壁材の劣化の原因とされている太陽光や雨水を「味方につける」という新発想から生まれたサンディングボードが、ケイミュー株式会社の「光セラ」です。
「光セラ」は太陽の力を利用して外壁の表面についた汚れを分解し、付着力の弱まった状態の汚れを雨水で洗い流すというセルフクリーニングを実現。長期間きれいな状態保てるので、40年もの間外壁の塗り替えや張替えをする必要がありません。
サイディングは選び方とメンテナンス次第で長持ちする
サイディングは工事費用がリーズナブルでかつ耐用年数の高さをメリットとして持つ反面、表面の塗装やつなぎ目のシーリングが劣化しやすく、結局は定期的なメンテナンスをしなければならないという側面がありました。
しかし近年では40年近くお手入れ不要なサイディングボードも登場しており、長期間メンテナンスしなくても美しい外観を保てる家づくりができるようになってきました。一戸建ては外壁以外にも多くのメンテナンスが必要になるため、できる限り費用や手間がかからない外壁を選びたいものです。
ぜひさまざまなメーカーのサイディングを比較し、理想の家づくりを実現しましょう。