今回は新築やリフォームをするときには、上手く活用したい補助金の予測情報をお伝えしていきます。
毎年、政府の各省庁の予算から紐解くことで補助金の内容を予測することができるため、早めに情報を掴んで余裕を持った形で補助金を活用しましょう。
なお、今回の情報は24年度の各省庁の概算要求を基に作成しているため、確定情報ではないことをご留意ください。
それでは、本記事の要点から見ていきましょう。
・24年度の住宅補助金は概ね23年度と内容は同じものが多い
・新築は引き続き、ZEH補助金(ZEH支援事業)が主流で、一般的なZEHで55万円/戸、ZEH+で100万円/戸の補助金が予測
・リフォームは内窓を中心とする窓断熱リフォームがアツい
・こどもエコ住宅支援事業は、補正予算で組まれている補助金のため、23年9月時点では予算満了の後の補助金情報は未定
1. 24年度の各省庁の概算要求から紐解く補助金情報
出典:日本経済新聞
まず、概算要求とは各省庁が来年度の予算として財務省に対して提出する予算計画のようなものです。
すなわち、この概算要求を読み込めば、来年度の補助金情報も大枠として把握できることになります。
ただし、各省庁が財務省に要求しているだけの段階の為、財務省や国会の承認を得て、初めて正式に補助金事業として動き出すため、あくまで参考程度にお考え下さい。
この概算要求は一般にも公開されており、検索すれば誰でも見れる状態です。
しかし内容が多岐に渡っており、一般の方が新築やリフォームに関係する部分だけピックアップするのは少し難しいため、今回は当記事で家づくりに関係する部分だけピックアップしてお伝えしていきます。
1-1. 大枠としては23年度の内容と大きな変更はない
画像引用:一般社団法人 日本木造住宅産業協会
住宅に関わる補助金の内容としては、新築ではZEH支援事業、リフォームでは断熱窓の省エネリフォームに対する補助金がメイン項目となっています。
2023年度の住宅補助金としても、この2つがメインの補助金として既に存在しており、制度の内容としても大きな変更はないものと予測されます。
いずれも、社会全体で消費するエネルギー(ガスや電気や灯油など)を削減していくことが目的となっており、省エネや断熱といった用語がキーワードです。
国としてパリ協定で決められている、CO2削減量を達成するための取り組みの一環となっているわけです。
2. 新築はZEH支援事業で55万円
当サイトをご覧になっている方の多くが検討されている新築では、23年度に引き続きZEH支援事業(環境省中心)がメインの補助金になります。
ZEH(ゼッチ)とは、簡単に言い換えれば断熱性や省エネ性が優れている家で、なおかつ太陽光発電による創エネで年間に使うエネルギーが実質的にゼロな家のことです。
「実質」とは、当然普通に暮らしている中で、夜間や雨天時などの太陽光発電の創エネが見込めないときは、電力会社やガスといったインフラを活用してエネルギーを消費するため、本当にエネルギーを自分の家だけで自給自足は現実的ではありません。
そのため計算上、年間を通じて使うエネルギーより創るエネルギーの方が多ければ、実質的にゼロエネルギー住宅という形になっています。
そんなZEHの基準を超える家の場合、補助金として55万円/戸(ZEH+は100万円)がもらえる見込みになっています。
2-1.ZEH補助金をもらうためには
ZEH補助金は、もらうために各種条件があります。
大きな項目としては3つあります。
①建築予定の住宅会社が、ZEHビルダーに登録していること
②建築予定の家がZEH基準を満たしていること
③補助金の申請を行い許可が下りてからの着工、補助金の事業として決められている期間内に完工(家の完成)すること
この3つのうち、皆さんが注意すべき項目は①と③になります。
②のZEH基準を満たすか否か?といった細かい家の仕様などは、住宅会社側が考えてくれるのでそこまで気にする必要はありませんが、①と③は少し気にしておいた方がよいでしょう。
①のZEHビルダーとは、補助金の申請を受けるために住宅会社自体が申請機関に登録を済ませておく必要があります。
このZEHビルダーに登録されていないと、補助金の申請すらできません。
現状、全工務店の約8割近くが登録をしていますが、言い換えれば約2割程度の住宅会社は、補助金の申請すらできません。
そのため、補助金を使って家づくりを考えている場合は、打合せの初期段階で話しておいた方がよいでしょう。
③のスケジュールについても、補助金によって着工する時期が左右されてしまうため、住宅会社とよく相談していないとおくことをおすすめします。
2-2. ZEHは55万円、ZEH+は100万円がもらえる
ZEH補助金は実は大きく2つの項目があり、ZEHとZEH+(ゼッチプラス)というものがあります。
それぞれの補助金はZEHで55万円、ZEH+で100万円となっています。
ZEHは、断熱性能・省エネ性能が一定以上のレベルがあることと、太陽光発電を備えていることが大枠の条件ですが、ZEH+とはこれに追加の要素が入ってくる1グレード性能が高い家のことです。
その追加の要素とは、下記の3つのうち2つを追加要件として導入することです。
・断熱性能を強化外皮基準にすること(山陰地方では地域によってUA値0.5W/㎡・K以下もしくは0.4W/㎡・K以下)
・EV(電気自動車)の充電設備を備えること
・HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を備えること
またZEHでは細かい設備機器の条件はありませんが、ZEH+の場合は冷暖房設備屋や給湯機器も、それぞれに達成するべき仕様の基準があります。
この条件をクリアするとZEH+として100万円の補助金対象になります。
3. リフォームは内窓を中心とする窓断熱リフォームがアツい
一方、リフォームでは既存の窓はそのままで、部屋の内側に窓サッシを追加する「内窓リフォーム」が流行っています。
家の熱の出入りは、窓からが一番多いと言われており、この窓の断熱性能を強化することで、部屋の居住性の向上・光熱費の抑制といった効果が出ていきます。
既存住宅は、今の新築ほど断熱性能などがよくない=エネルギーをたくさん使う家、となってしまっているため、既存住宅の省エネリフォームに対しても補助金が出ます。
3-1. 先進的窓リノベ事業に注目!最大200万円(令和5年度)
画像引用:先進的窓リノベ事業
国交省の概算要求の中でも、23年度に行っている「こどもエコ住宅支援事業」の一環である「先進的窓リノベ事業」が継続的に行われる見込みです。
これは、内窓の追加もしくは窓サッシの入れ替えを行うリフォームに対して最大で200万円/戸の補助金がもらえる制度です。
窓の大きさや断熱性能によって補助金額が決まっているため、全額補助ではないにしても、かなり大きな支援になります。
この先進的窓リノベ事業によって、断熱リフォームが急激に増えてきており、サッシメーカーの出荷量も前年から大幅に伸長している状況です。
4.こどもエコ住宅支援事業の後継
画像引用:こどもエコすまい支援事業
実は23年で一番注目されている住宅補助金は、「こどもエコすまい支援事業」ですが、この補助金制度は補正予算、つまり臨時の予算で組まれた補助金制度になっています。
概算要求で予測できる来年度の本予算には内容が含まれておらず、本記事を執筆している23年9月時点では予算が尽きつつありますが、後継の補助金についての情報が未定のままです。
5.まとめ
今回ご紹介したZEHは例年通りであれば24年の5月頃~申請が可能となる見込みで、断熱窓リノベはこどもエコすまい支援事業次第といったところですが、23年の後半ごろから利用できる見込みが高いと予測されています。
新築であれば、当記事の概要を踏まえて準備しておくと、家づくりにおいて補助金を上手く活用できる進め方ができるでしょう。
せっかくであれば、多くの方が補助金を利用して建てたいと思うのが通常でしょう。
補助金で気になったことがあれば、当サイトでご紹介している住宅会社へ相談してみましょう。