後悔しないために最初に知っておくべき注文住宅の坪単価のカラクリとは

新築を購入検討するようになると、必ずと言ってもいいほど出会う用語「坪単価」について紐解いていきます。
会社ごとのコスト比較に使いやすそうなキーワードなため、多くの方が参考にしがちです。

しかし、そこに潜む「落とし穴」もあることを忘れてはいけません。
それでは、まず今回の記事の結論からお伝えします。

結論
  • 一般的に坪単価とは、建物本体価格のみを指し、それ以外の工事や諸経費を含んでいない
  • 家づくりにかかる全体のコストを 10 とすれば、建物本体費用は約 7 、屋外工事が 2 、諸経費を 1 となっており、坪単価が全てではない(一般論での割合)
  • 建築会社によって、坪単価という用語を “ 自己解釈 “ していることがあり、さらに若干の違いがある。
  • 引き渡しまでにいくらかかるのか?が大事であり、展示場などの見学の際には坪単価に引っ張られないようしましょう
目次

坪単価とは

坪単価とは、建物本体価格を延床面積(坪数)で割り算した時に算出される目安となる金額です。

建物本体価格を比較する際の目安に使われる指標で有名ですが、実は信用できそうで「信用できない指標」なんです。

概ねの概算をつかむには有効な方法ではありますが、上図の全体像を見ると坪単価=最終的な金額ではない事がわかります。

全体から俯瞰すると、坪単価で表される部分はおおよそ7割くらいで、付帯工事が2割、諸経費が1割といったバランスが一般的です。

その他、新築の資金計画には注意点・わかりにくいポイントがたくさんあります。

「坪単価の安さ」に引っ張られないように、しっかりと知識を付けていきましょう。

1-1.坪単価に含む項目

まず一般的に坪単価に含まれる内容をみていきましょう。

・基礎や構造躯体、外壁、窓サッシ、屋根などの家本体  
・住宅設備として、家に付随する住宅設備(キッチン・お風呂・洗面化粧台・トイレなど)
・ドアや床材、クロスなどの内装材
 

このように「生活するために家として最低限必要な家本体・設備」が「建物本体価格」と言われる部分です。

言い方については、住宅会社によって異なってきますが、おおむね本体価格と言われることが多いです。

この建物本体に含まれる設備は、会社によって解釈が異なります

例えば照明は解釈が分かれやすい部分で、備え付けのダウンライトは本体に含むものの、後付けするシーリングライトは含まないなど様々です。

本体に含む内容は会社ごとに若干の差があるため、見積までに至った会社では確認をしましょう。

また、坪単価は建物本体価格を「延床面積」で割り算をすることが一般的ですが、住宅会社によっては「施工面積」で割り算をする会社もあります。

施工面積とは、延床面積に玄関ステップやバルコニーなどを含んだ面積のことで、坪単価を割安に見せるために使われる ” ずるい” テクニックです。

延床面積より施工面積の方が大きくなるので、割り算をした時に安く見せることができるため、しばしば見られる方法ですが、施工面積同士で比較をしないといけませんね。

1-2.屋外工事

一方、ここからは建物本体に含まれない「屋外工事」(付帯工事ということもある)についてお伝えしていきます。

屋外工事(付帯工事)に含まれる内容は以下のような工事です。

・給排水や電気ガスといったライフラインを整える工事  
・地盤改良が必要な場合)杭を打って基礎を強化する工事  
・崖地などの場合)擁壁と呼ばれる壁を作る工事
・接している道路との境界に側溝が無い場合)雨水を流すための側溝をつける工事
・水道が入ってなかった場合)給水設備を土地に入れる工事

エコキュートもしくはガス給湯器の「本体費用」は、建物本体価格に含まれますが、それらが使えるようにするため、電気工事・ガス接続工事の「工事費用」は、こちらの屋外工事です。

また、屋外工事は土地によって大きく異なるため、一概にいくらぐらい、というのは難しいのが現状です。

一般的な35坪程度の家であればや屋外工事費は200万円程度が一般的な相場ですが、これは整備されたキレイな分譲地の場合です。

土地が崖地になっている、高低差がある場合は「擁壁(ようへき)」と言って、土地が崩れないように分厚い壁を造ったりすると、それだけで100万円~場合によっては1000万円程度になることも。

また、建てる家の重量・建てる場所の地盤の硬さなどによって、地盤改良が発生することもあります。

確率論では語れませんが、地域によっては ” だいたい地盤改良になる ” ところもあるため、基本的に「地盤改良は必要経費」として予め資金計画に入れ込んでおくことが安全でしょう。

1-3.諸経費

3つ目に、新築を建てるために必要な「申請費用・保険費用」である「諸経費」というものがあります。

具体的な諸経費としては、以下のようなものがあります。

・住宅ローンの手数料(融資手数料・印紙代・つなぎ融資金利・抵当権設定費用など)  
・登記費用(表題登記・所有権保存登記 など)  
・火災保険 など

これらの費用も、住宅ローンの金額や火災保険の年数などで大きく変わってくるため、住宅会社の資金計画の標記方法をよく確認するようにしましょう。

諸経費を「別途」としたり、火災保険の費用を1年の金額で資金計画に入れてきたりする会社もあるので、住宅会社同士を比較する際には注意です。

2.坪単価に含まれていないことが多い項目

それでは建物に付随するものの中で、「坪単価に含まれていそうで一般的には含まれない項目」を紹介します。

・照明機器工事費(特にダウンライト以外のもの)  
・空調機器工事費  
・外構エクステリア (玄関ステップは坪単価に含まれるが、アプローチなどは含まれない)  
・家具 、カーテン

上記の項目は、坪単価に含まれないことが多いため、特に家具、カーテン・空調・外構エクステリアは大きく金額が変わってくる部分なので注意しましょう。

一般的には、外構費用で約50万円~、空調も全部屋対応すると最低でも約50万円~はかかってききます。

坪単価だけでなく、総額も考えながら検討をしないと、予算オーバーでこれらの費用が捻出できないことも考えられるので、資金計画は「全体を俯瞰的に見ながら検討すること」が大事です。

3.坪単価で後悔しないために知っておくべきポイント

建物は本来、間取りが変われば同じ坪数でも見積金額が異なるため、坪単価で一律にすると安いのか高いのか?わからなくなります

住宅会社側に立って考えれば、基本的にどんなプランでも適正利益が取れるような金額設定で「坪単価」を設定していることが想定されます。

建物は基本的に、大きくなればなるほど割安になっていくものです。(人件費や運搬費用などが大きさによって、あまり変わらないため)

坪単価を固定金額で算出している会社では、大きな家(おおむね50坪前後以上)の場合、本来は安くなるはずのメリットを享受できません。

一方、平屋を建てる場合は、2階建てに比べて建物本体金額が割高になります。

そのため、標準仕様の坪単価が適用されないことが多く、坪単価が魅力で選んだはずが「話が違う」ということにもなりかねません。

このように、坪単価を基準に選んでいると様々な弊害があるため、「総額を基準に選ぶこと」「同条件で比較検討すること」をおすすめします

4.まとめ

坪単価はあくまで参考程度の目安にしかならないだけでなく、様々な「カラクリ」があります。

このカラクリに落ちないようするためには、土地を含む最終的に引き渡しまでにかかる見積をしっかり取ってみることが大事です。

坪単価で安い・高いの判断を安直にしないように気を付けて住宅会社選びをしてみてください。

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