今回は、家づくりをスタートしていくと、よく遭遇する用語を解説していきます。
家を建てる際、専門用語に囲まれて戸惑うことはありませんか?
建築にかかわる専門用語が出てきて、その都度なんかよくわからないな、とモヤっとすることがあるでしょう。
法規や省エネ・外まわり・内装・設備の4つの観点から紹介していきます。
これらの用語を理解することで、家づくりのプロセスがスムーズになり、より良いコミュニケーションが可能になります。
なんとなく聞いたことがある用語も多いと思いますが、この記事を参考に「しっかり」理解していきましょう。
1. 法規や省エネ
多くの方が「とっつきにくい」印象を受ける部分が、この法規や省エネです。
家を新築するときには、このような法規については住宅会社側がコーディネートしてくれるとは言え、打合せにも専門用語が出てくる場合もあり、覚えておくとよいでしょう。
家を建てる際には、法規や省エネに関する知識は必要です。これらは一見複雑に思えるかもしれませんが、基本を理解しておくことで、家づくりのプロセスがより明確になります。
1-1. 法規など
・耐震等級
出典:ALSOK
家の地震に対する耐性を示す指標です。等級1は建築基準法の基本要件を満たし、等級2はそれを1.25倍、等級3は1.5倍以上の耐性を持つことを意味します。
・長期優良住宅
文字通り、長期間安心して住まえる設計になっている住宅のことで、耐震や耐久といった9つの要素の基準をクリアしていることが条件です。
長期優良住宅になることで、家の性能・価値があがるだけでなく、第三者機関の認定を受けるため、税率の優遇などを受けることができます。
・品確法(ひんかくほう・正式名称は住宅の品質確保の促進等に関する法律)
出典:住宅瑕疵担保責任保険協会
住宅を安心して購入するために、構造・防水部分などに10年保証を義務付けたり、一定の基準に基づいた客観的な評価をすることで住宅の価値を上げたりするための制度です。住宅の品質を保証し、消費者が安心して住宅を購入できるようにするための法律です。構造や防水部分に10年保証を義務付け、住宅の価値を高めます。
・延床面積と建築面積
出典:スーモカウンター
延べ床面積は、その家の内側スペースとして床が存在する部分の面積です。
一方、建築面積は、その土地に対して家が建っている面積(真上から見たときにを指します。
どちらも、柱の中心を基準にして測定されることが一般的です。
・UA値
断熱性能を数字で示す指標をUA値といいます。家の壁・屋根(天井)・床(基礎)から、どれだけ熱が逃げていくか?の平均値をとったものです。UA値は数値が低いほど、断熱性能がよくなります。
・C値
家の気密性能を示す指標のことで、家全体の隙間の面積の目安です。
C値も数値が低いほど隙間が小さい家、ということになり、換気の有効性や家の耐久性にも影響してきます。
・ZEH(ゼッチ)
出典:資源エネルギー庁
断熱性能(UA値)と、省エネ性能(一次エネルギー消費量)の基準をクリアし、さらに太陽光発電などで年間に使うエネルギーが「実質的に」ゼロになっている家のことです。
生活をする中で電気・ガスといったエネルギーは使いますが、一般的な家に比べて使うエネルギーが少なく、さらに太陽光発電で使うエネルギーより、創り出すエネルギーの方が多くなる家をZEH(ゼッチ)と言います。
2. 外まわり
2つ目は外観を中心とした外まわりについての用語を紹介していきます。外観のデザインにこだわりたい人は、必ず覚えておきましょう。
・ファサード
家の正面のことを指します。
正面とは必ずしも南側ではなく、一般的に接している道から見た時の見え方になります。ファサードは、建物のデザインやスタイル、機能性、そしてその建物が周囲の環境や街並みにどのように溶け込むかを示す重要な要素です。
・軒(のき)
軒(のき)とは屋根の部分でも、壁面から外側に張り出している部分を指します。「軒の出」となると、軒が建物からどれだけ出ているか、の寸法を指すようになります。
軒は、建物の外観に影響を与えるだけでなく、実用的な機能も持っています。日差しの調整や雨水の管理なども行う重要な部分です。
・アプローチ
玄関から前面道路までの通り道のことです。アプローチは、居住者にとっては毎日利用する場所で、訪問者にとってはまず最初に目にする部分となり、建物や住宅の第一印象を大きく左右する要素とも言えます。
・切妻(きりづま)屋根
もっとも一般的な屋根形状でハの字型の屋根形状のことです。この屋根形状は、切妻屋根は、シンプルな構造と効率的な水の排水能力から、世界中の多くの地域で広く採用されています。
・ガルバ(正式名称:ガルバリウム鋼板)
出典:LIXIL
最近、外壁や屋根材として増えている金属素材で、基材のスチールにアルミニウム、亜鉛、およびシリコンを被覆したものです。耐久性が高く、軽い素材のため人気が高くなっています。
・サイディング
出典:KMEW
外壁でよく聞く用語ですが、一般的にはセメントに木片などを混ぜて圧縮し、表面に対候性の高いコーティングがされている外装材です。住宅の保護と装飾の両方の目的で使用されます。適切な素材とスタイルを選ぶことで、建物の耐久性を高め、魅力的な外観を長期間維持することができます。
3. 内装
・框(かまち)
建物の窓やドアなど、開口部を囲む枠組みを指す用語となっています。
ただ、一般的には玄関框(もしくは上がり框)として出てくることが多いですが、扉のデザインなどでも「框組み」という用語で使う時もあります。
・幅木(はばき)
壁と床の取り合い(接合している点)につけるもので、床と壁の接合部をキレイにみせるために使われます。
同様に、壁と天井の取り合いにつけるものは、廻り縁(まわりぶち)と呼ばれます。
・内法(うちのり)寸法
壁と壁の内側の寸法を指します。
図面上では一般的に、柱の芯から芯までの寸法で計算することが多いため、実際に空間として利用できる寸法は小さくなってくる点は注意点です。
・出隅(でずみ) / 入隅(いりずみ)
壁の出っ張り・引っ込みを表す用語です。
壁が90度張り出している部分が出隅、一方で90度入りこんでいる部分が入隅で、正方形の部屋であれば入隅は4か所となります。
・笠木(かさぎ)
出典:大建工業
キッチン前のカウンター、階段ホールの壁の上についている木枠のことです。幅はだいたい15~20cmぐらいで、壁の納め上の化粧材として使われます。
・アウトセット
出典:LIXIL
ドアでよく使う用語ですが、壁もしくは天井にレールを取り付け、建具本体をそのレールに沿って動かす方法です。リフォームなどで、開き戸から引戸へ変更するときによく使われます。
・ニッチ
壁面に設ける小さな凹みスペースのこと。奥行・幅・高さによっては、ちょっとした収納にしたり飾り棚として活用したりとインテリアのワンポイントとしても活用されます。
・はめ殺し(FIX)
出典:YKK AP
建築用語では、殺しという用語をたまに使います。開閉ができない窓のことを「はめ殺し」と表現したり、使えない部分を「死んでいる」と表現することもあり、何かを使えなくすることを「殺す」、使えなくなっている状態を「死んでいる」と言います。
・CH / FL
図面に触れる機会が出てくるとよく出てくる用語ですが、CHは天井高さを表し、FLは床面高さを示します。「Ceiling Height(天井高)」と「Floor Level(床レベル)」の略です。
4. 設備
・カップボード
キッチンの後ろにある収納棚のことです。食器、調理器具などを収納する場所ですが、毎日使う場所でもあるので、使い勝手が良いと、キッチンに立つ時間が充実した時間になりそうです。
・パントリー
食品庫のことで、キッチンに隣接する形で設計されることが多いです。生活スタイルにあったパントリーは、家庭内での食品管理を効率化し、キッチンの機能性や使いやすさを向上させると言えます。
・グースネック
出典:KVK
水栓の形状でよく出てくる用語で、グース=白鳥、ネック=首、合わせて白鳥の首のようにカーブした形状をしている水栓のことです。オープンなキッチンが増えている中、水栓のデザイン性を求める方に人気が高い形状です。
・ハイバック
出典:TOTO
洗面を設計する際によく出てきますが、後ろの壁が立ち上がって大きなボウル状になっていることを指します。ハイバックカウンターの洗面は水栓が壁につくので、水垢がたまりにくいなどの理由から人気があります。
・トラップ
出典:クラシアン
下水管からニオイなどが上がってこないようにするための、排水管に接続する部分の構造のことです。お風呂やキッチンの排水溝の掃除が一番難しい奥の部分、と思って頂くと想像しやすいです。
5.まとめ
以上のような用語は、家づくりの打合せが進んでいくと、よく出てくる用語です。
なんとなくニュアンスではわかるものも多いと思いますが、しっかり理解しておくことで、住宅会社側との話し合いもスムーズになります。
今回の記事を1つの参考にしていただくとともに、分からない用語がある時は、分からないままにするのではなく、遠慮なく住宅会社の担当の方に聞いてみましょう!!