家の外観を決めるための屋根の形状と名称の解説 !デザインと機能面を考慮した選択肢

・新築では、人気のある屋根形状は切妻屋根、寄棟屋根、陸屋根、片流れ屋根の4つである。

・切妻屋根はデザインと機能の両面で人気があり、約半数の新築で採用されている。

・陸屋根はスタイリッシュなデザインに適しているが、定期的な防水処理が必要。

・雪国では切妻屋根、陸屋根、招き屋根、腰折れ屋根がよく採用される。

家づくりを始める際、多くの方が外観にこだわりたいと考えるでしょう。

新築住宅は周囲から目立つ存在であり、毎日目にすることで満足感を得たいと思うものです。

この記事では、家の外観に大きな影響を与える屋根の形状について、基本的なポイントから地域や気候に合わせた形状まで、さまざまな種類を紹介し、それぞれのメリットとデメリットについても検証します。

目次

1. 屋根の形状・種類

屋根には様々な形状があり、これらの形状が家の外観を多様に演出してくれます。

最近の新築住宅でよく見られる形状は、以下の4つです。

① 切妻屋根(きりづま

② 寄棟屋根(よせむね)

③ 陸屋根(ろく or りくやね)

④ 片流れ屋根

また、かつての和瓦の家では格式が高いとされていた⑤入母屋屋根(いりもや)がよく見られました。

1-1. 屋根の形状の名称と解説

それでは、各屋根の名称と特徴について少し触れていきましょう。

切妻屋根きりづま切妻屋根は、2方向に勾配があり、三角形を形取った屋根です。
寄棟屋根よせむね寄棟屋根は、屋根の最上部の棟から四方向に勾配がついている屋根で、棟には棟木(むなぎ)と呼ばれる水平の構造材が入ります。
陸屋根りく or ろく平に見える屋根形状
片流れ屋根かたながれ片流れ屋根は、いずれか一方向に傾斜がついているシンプルな屋根形状です。
入母屋屋根いりもや屋根の上部が切妻屋根の形で、下部が寄棟屋根の形をするなど複雑に組み合わせた屋根
招き屋根まねき切妻屋根の片面を短くした、への字型の屋根
下屋付き招き屋根げやつきまねき下屋(1階部分の屋根)と組み合わせた招き屋根
M型屋根Mがた文字通りM字型の屋根
越し屋根こしやね切妻屋根の中央の一部を上に持ち上げたような屋根
棟違い屋根むねちがい片方の屋根面の軒は同じでも、棟の高さがそれぞれ異なる屋根を組み合わせた屋根
乗越し屋根のりこし一方の屋根の棟が、もう一方の屋根の棟の上を交差し、上に乗り越したような屋根
腰折れ屋根(ギャンブレル屋根)こしおれ途中で傾斜角度が急になっている屋根
半切妻屋根(はかま腰屋根)はんきりづま切妻屋根の両妻頂部を折り曲げたような形状で、その部分を寄棟にした屋根
方形屋根ほうぎょう一つの頂点から四方に向かって同じ角度で傾斜した屋根
Y型屋根(バタフライ屋根)Yがた家の中心に傾斜をもってきた屋根

1-2. 雪国では採用される屋根の形状も違う

つづいて積雪地域では、採用される屋根の形状も少し異なり、下記の4つの形状が多くなります。

① 切妻屋根(きりづま)

③ 陸屋根(ろく or りくやね)

⑥ 招き屋根

④ 腰折れ屋根

この4つは、雪が落ちやすい・もしくは雪を全く落とさない構造になっている点です。

それでは、主な屋根のメリット・デメリットを紹介していきます。

2. 一般地で人気の屋根のメリット・デメリット

2-1. 切妻屋根(きりづま)

出典:KMEW・施工事例

切妻屋根は昔から普遍的に人気が高い屋根形状です。

新築の約半数が、切妻屋根とも言われており、それだけ採用が多い理由としてはデザイン上の観点だけでなく、雨漏りのリスクが少ない点があげられます。

傾斜をある程度しっかり付けることができるため雨がたまりにくく、さらに建築コストも抑えることができる屋根です。

昨今は太陽光発電を採用される方にも人気の屋根形状でもあります。

一方、デメリットは家の棟(家の頂点)が高くなり、「斜線制限」に引っ掛かりやすくなる点では、都市部や土地が狭い場所等には家の向きによって採用できないこともあります。

2-2. 寄棟屋根(よせむね)

出典:KMEW・施工事例

寄棟屋根とは、屋根の最上部の棟から四方向に勾配がついている屋根で、棟には棟木(むなぎ)と呼ばれる水平の構造材が入ります。

方形屋根(ほうぎょうやね)と似た形状をしていますが、棟が水平な点が違います。

寄棟は家の棟の高さを抑えることができることや、切妻や片流れ屋根に比べて外壁の使用量を抑えることができるため、コストメリットも出しやすい屋根です。

一方で、小屋裏空間を大きく取りにくいため、小屋裏空間を有効的に利用したい方などには不向きな形状でもあります。

2-3. 陸屋根(ろく or りくやね)

出典:KMEW・施工事例

水平な形状をしており、家全体がボックス型になる陸屋根です。

メリットは、スタイリッシュなデザインに仕上げやすいことや、屋上空間を有効活用したい方にはピッタリの屋根形状です。

一方、水平であるがゆえに、もっとも雨漏りのリスクが高い屋根でもあることから、おおむね10年程度では防水処理の補修が推奨されます。

また雪国では雪下ろしをしない・雪が落ちてこない屋根として、陸屋根を採用することがあります。

2-4. 片流れ屋根

出典:KMEW・施工事例

最近、人気が高い片流れ屋根は、シンプルな外観デザインにマッチし、太陽光発電パネルを多く搭載したい方にも人気の屋根です。

屋根を大きく魅せることでデザイン性も高くなり、シンプルかつスタイリッシュな外観に仕上げたい方に向いています。

一方、軒先をしっかり確保しないと他の屋根に比べて外壁が劣化しやすい点や、雨樋への負担が大きいことがデメリットです。

3. 積雪地で人気の屋根形状のメリット・デメリット

出典:一般社団法人・白川郷観光協会

積雪地では、雪への対策として屋根形状を工夫している地域でもあります。

例えば同じように切妻屋根を採用する場合でも、積雪地では勾配を急な角度にすることがあります。

代表的な例では、岐阜県・白川郷の合掌造りがそれにあたりますが、昔からの知恵として屋根の形状も雪対策として理にかなっている形状を採用することが多くなります。

3-1. 招き屋根

出典:KMEW・施工事例

招き屋根は、切妻屋根のような形状で片側が長く、片側が短い「へ」の字型をしています。

雪国で多い理由は、雪が融けにくい北側を短くして、雪を積もりにくくし、雪が融けやすい南側を長くするためです。

メリットは切妻屋根と同様、雨が溜まりにくく雨漏りのリスクが少ないこと。

一方、デメリットは棟の高さが高くなりがちな点です。

3-2. 腰折れ屋根(ギャンブレル屋根)

出典:Wikipedia

腰折れ屋根は、北海道に多い屋根形状です。

屋根の途中から傾斜勾配が急になっていることから、雪がドサっと落ちやすい形状で、雪が積もりすぎること・雨がたまることを防止できる屋根になっています。

また、小屋裏空間を大きく取りやすい側面もあります。

一方、折れている部分に結露が発生しやすいことや、太陽光発電を載せるには適していない形状となる点は注意ポイントです。

4. まとめ

屋根の形状は、デザインだけでなく、雨漏り対策や地域の特性にも影響を与えます。

また、小屋裏空間や太陽光発電など、個々の要望によっても選択肢は異なるでしょう。

この記事を参考にして、新築の屋根形状を選ぶ際の優先順位を考えてみてください。


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