家が建てられない土地がある?土地選びで注意する農地法とは

土地をインターネットなどで選んでいる時、相場より安い土地があります。

安いから魅力的に見える「農地」について、様々な注意点をお伝えしていきます。

知らずに住宅の土地として買ってしまうと、取り返しのつかないことになりかねません。

それでは、まず今回の記事の要点から抑えていきましょう。

農地には、所有者であったとしても農転という手続きをしないと家を建てることはできない

・土地には地目というものがあり、不動産の登記上、その土地の用途を示すもので、基本的に農地には家を建てることはできず、農地に関係する地目では「畑」「田」など 

・農転には時間がかかるケースが多く、短くて数ヶ月~長い場合には数年ということも。 

・申請のための必要書類を揃える費用として、行政書士に支払う費用で約10万円~20万円程度必要 

・農業振興地域に指定されていた場合、許可が全く下りないことも考えられるため、安易に農地を家を建てるための土地として購入することは危険 

目次

1. 農地にはそのまま家が建てられない

まず結論からお伝えすると、農地と呼ばれる土地にはそのまま新築を建てることはできません。

その理由や、新築を建てるための方法などを紹介していきます。

1-1. 農地法

まず農地には「農地法」という法律があり、この法律で土地の使い方について規定されています。

国として一定以上の農地を確保して、安定して農業を発展させていくなどの目的があり、簡単に売買をしたり新築が建てられないようになっています。

農地法の中で、家を建てる時に関係する規定としては、第3条・4条・5条があげられます。

農地法・第3条         農地の所有権移転などを行う時は、農業委員会の許可を受けなければならない
農地法・第4条農地を農地以外の用途にする時は、都道府県知事の許可を受けなければならない(自己所有のまま)
農地法・第5条農地を農地以外の用途にするために売却する時は、許可を受けなければいけない(他人に売却する)※市街化調整区域)4ha以下:都道府県知事の許可※市街化調整区域)4ha以上:国と協議+都道府県知事の許可※市街化区域)農業委員会の許可

このように、農地を農地以外の用途、特に新築を建てる等の宅地に変更する場合は、都道府県知事や各地の農業委員会の許可などを得る必要があります。

基本的には、農業を営むエリアとして設定しているため、申請をしてもNGになるケースも当然あり、場所によっては許可が下りないことも想定されます。

1-2. 農転とは

農地を、家が建てられる土地にすることを「農地転用」(以下、略語である農転)といいます。

農転は上記の農地法でいう、第4条および第5条にあてはまります。

元々は農業用地であることから、農業用の倉庫や資材置き場は問題ないですが、自己居住用の建物などは基本的に認められません。

これは自分自身で所有している農地であっても、勝手に建てると農地法の法律違反になります。

また、農業委員会を通じて農転の申請をかけますが、申請のタイミングや審査頻度は1ヶ月~数ヶ月など自治体によってもバラバラです。

詳しくはお住まいの農業委員会に聞いてみるとよいでしょう。

1-3. 地目とは

土地には、何の用途で使われるのかを表す地目(ちもく)というものがあります。

この地目によって、新築の許可が下りる・下りないといったことまで変わってきます。

一般的に家を建てることができる地目は「宅地」「山林」「原野」「雑種地」です。

ただし宅地以外の地目の場合、様々な条件が掛かってくることも想定されます。

例えば雑種地の場合、市街化区域であれば家を建てることはできますが、市街化調整区域では基本的に家を建てることはできない、など。

新築用として家を購入するのであれば、地目は「宅地」一択で検討することが無難と言えます。

1-4. 市街化区域と市街化調整区域のちがい

農地を知るうえで、もう1つ覚えておいた方がいい用語があります。

それは、市街化区域と市街化調整区域です。

市街化区域とは一般的な街並みを形成するエリア、市街化調整区域とは家が積極的に建つことを抑えるエリア、となります。

簡単に言い換えれば町の中心部は市街化区域、中心部から外れた田んぼや畑が広がっているエリアは市街化調整区域で、みなさんのお住まいの地域で想像してみるとわかりやすいでしょう。

詳細は市のホームページなどで確認することができます。

2. 農転での注意点や費用など

それでは、農転における実際の注意点(期間・費用など)を抑えていきましょう。

2-1. 農転の許可が下りるまでの期間は数ヶ月~

農転は農業委員会に申請を出して、市街化区域などであれば数ヶ月で許可が下りることが一般的です。

しかし、市街化調整区域など農地の中でも、” 宅地に転用されると農業振興の観点からあまり良くないエリア ” の場合は許可が下りるのに1年~数年を要することがあります。

また、自治体が特に農業に力を入れているエリア=農業振興地域、に該当している場合は、農転自体が禁止となっています。

このようなリスクがあるため、住宅用の土地として購入を検討している場合は、購入前に必ず農業委員会に伺うべきでしょう。

2-2. 農転にかかる費用は10万円~20万円と考えよう

農転自体に申請費用は掛かりませんが、付属で添付する書類を用意するために、基本的には行政書士への依頼が必要となります。

農地転用申請にかかる手数料の相場は、届出の場合が4~7万円程度、許可の場合は10万円程度かかる場合もあります。

また許可が下りれば所有権移転に伴う、登記費用もかかりますので、予算には余裕を持って事前に計画しておきましょう。

2-3. 農転ができる土地は第2種農地

農地の中でも種類があり、その中の第2種農地であれば農転が許可される可能性が高いです。

第2種農地は、市街化が見込まれるエリアであることや、農地としての生産性が低い土地、として位置づけられます。

主には駅やまちの中心部から約500m以内にある農地、そして10ha以未満で市街化区域から500m以内の農地です。

ただし、各条件によって農業委員会や都道府県知事が最終的に判断するため、これらの条件に合致しているからと言って、必ず許可が下りるわけではありません。

2-4. ライフラインが揃っていないことが多い

最後に住宅用の土地として「致命的な部分」がライフラインが整っていないことが多いことです。

家を新築するためには、水道・下水・電気・ガスなどのライフラインが前面道路まで来ていないといけませんが、まわりが農地の場合はこれらのライフラインが近くにきていないことも容易に想像できます。

自分の家の為だけに引き込みをすると、莫大な費用がかかり現実的ではないコストになります。

3. まとめ

土地の坪単価が異様に安く魅力的に見える農地ですが、このような条件があります。

一般的に親族から譲り受けるなどの場合を除いて、農地を新規で買って家を建てることは、あまり現実的ではないケースも多いです。

見た目の坪単価だけでなく周囲環境や、このような法律の観点もしっかり確認しておきましょう。

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