今回は、冷暖房に必要以上に頼らず自然の力を利用するパッシブハウスの基本についてご紹介します。
暑い夏を涼しく過ごしたい!エアコンの電気代が気になる!という方は必見の内容です。
夏を涼しく過ごすためのポイントや方法も紹介していきますので、気になるポイントを部分的に取り入れても良いでしょう。
それでは、まず今回の記事の要点からみていきましょう。
・パッシブハウスとは、ドイツ生まれの住宅の設計思想で、高い断熱性能と機械設備に頼り過ぎず、自然の力(日射・通風など)を利用して快適かつエコに暮らす住宅のこと
・断熱性能を一定以上に高めることや、窓のタイプを場所ごとに考えることで、夏の暑さを軽減することができる
・家の中を風が流れやすい設計になっていると、夏の冷房にかかるエネルギーを抑えることができ、建築前に計算として算出できる
・涼しく過ごすためには、南側に適正な寸法の「ひさし」と、外付けルーバーやシェードなどを利用するとよい
1. パッシブハウスとは
出典:パッシブハウス・ジャパン
昨今の新築住宅には、大きく2つの考え方があります。
1つが設備機械への依存度を高くして省エネ効果を上げる家、そしてもう1つが自然の力を利用しながら、機械設備にできるだけ頼らず省エネを実現する家、の2つです。
これは、どちらが良い・悪いという観点ではなく、いずれも省エネでエコな住宅であることには変わりありません。
いずれの考え方も、断熱性能を一定以上に高めることは、大事なこととされており、各住宅会社で必要に応じた断熱性能と組み合わせて設計されていきます。
1-1. パッシブハウスで夏の暑さを軽減する
パッシブハウスは、「自然の力を積極的に利用するエコな家」で、どのように夏の暑さを回避しているのかを見ていきましょう。
・断熱性能を高くする
夏を涼しく過ごすための、第1ステップとしては「断熱性能をあげること」です。
まずは断熱性能を高めることで、外から入ってくる熱を遮断することができ、涼しく過ごせるわけです。
他の方法も、この断熱性能がしっかりしていることが前提に成り立っていきますので、最初に気を付けるべきポイントは、UA値(ゆーえーち)に代表される断熱性です。
・通風を利用する
出典:YKK AP
通風とは、読んで字のごとく風が抜けやすい家を設計することから始まります。
風が抜けやすい設計は、その土地の風の流れに合わせた窓設計だけでなく、実際に風が家を立体的に抜けるかどうかも大事なポイントです。
特に暑い空気は上にあがるため、天窓や高窓、階段ホールなどを利用して、暑い空気が抜けやすいような設計をすることで、冷暖房を抑えつつ快適な涼しさを実現できます。
この風による効果は、建築前にあらかじめ「一次エネルギー消費量」というもので計算することができ、少ないながらも省エネ効果があります。
・日射を制限する
出典:LIXIL
日射とは、直射日光のことです。
夏は日差しが強く、直接部屋に日射が入るとそれだけで部屋を暖めてしまいます。
そのため南側にひさしを出して、日差しをカットすることで直接的な暑さを軽減します。
ただ、季節が変わって冬の場合、できるだけ日射を取り込んで部屋の温度を上げたいというニーズがあることも忘れてはいけません。
ひさしの出寸法など設計の工夫によって、夏の日射は入らないものの、冬の日差しは入る、という絶妙な寸法で暑熱対策をすることもできます。
2. 夏の日差しをカットする設備
つづいて、家の設計の考え方以外に、エクステリア商品等でできる暑熱対策をみていきましょう。
2-1. 外付け電動ルーバー
出典:YKK AP
パッシブハウスでも人気な外付け電動ルーバーです。
一見、シャッターのように見えるルーバーですが、ルーバー自体の開閉はもちろん、ルーバーの角度を変更して日差しをカットしつつ、風を通すことができる商品です。
室内ブラインドと似たように見えますが、一番の特徴は「部屋の中に日差しが入る前に屋外側でカットできること」に意味があります。
出典:YKK AP
一旦、窓を通過して室内に日射が入ってしまうと、どうしても部屋の中を暖めるため、外付けで日差しをカットすることに大きな意味があります。
また、この外付け電動ルーバーは「日射カット」「通風」「目隠し」「防犯」の4つが同時にでき、少しの外出であればルーバーを下したままにしておくこともできます。
少し値段が高い点がデメリットではありますが、満足度が高い商品でもあり、夏には活躍するシーンが多いでしょう。
2-2. シェード
出典:LIXIL
シェードという言葉は少し耳なじみがないかも知れませんが、「すだれ」に近いものです。
暑い日に窓を覆うように、日陰をつくって日射が直接入ってくることを防ぎます。
出典:LIXIL
上記のLIXILのホームページでは、シェードにより日射熱を約88%カットできる結果もあり、比較的安価に冷暖房費や室温を下げることができます。
最近はガーデニングが好きな方であれば、植物をからめた自然のカーテンを活用する方もおり、年々強くなっている日差しをカットして、暑さを軽減することも考えておきたいところです。
3. 新築でおすすめの仕様や断熱性能とは
それでは、実際に夏を涼しく快適に過ごしやすい家にするための設計とは?という部分を具体的に紹介していきましょう。
この設計に関しては、各地域での気候などによるため、今回は山陰地方を念頭に書いているため、あくまで参考程度でお考え下さい。
3-1. おすすめの断熱性能は等級6~7
出典:鳥取県
上図は鳥取県が取り組んでいる、高断熱住宅の指標です。
断熱性能としては、断熱等級7(最高ランク)に匹敵する断熱性があれば、冷房費の削減率として「国が設定している省エネ基準の家」と比べて、約7割削減できる効果があります。
また、おすすめする仕様として、「冷暖房費を抑えるために必要な最低限のレベル」として、断熱等級6程度が設定されており、現行の国の基準を上回る断熱性能が求められます。
パッシブハウスの中でも解説したように、断熱性能を一定以上に上げることにより、複合的に快適な家に近づいていきます。
3-2. 住宅の仕様は住宅会社と相談
昨今はSNSが普及してきたことから、住宅の仕様を詳しく調べる方も少なくありません。
もちろん、自分なりに勉強をしていくことは素晴らしいですが、個々の会社で標準的に使っている仕様や、その間取り・気候・予算に合ったものを、住宅会社側が選んでくれます。
どうしても、コレを使いたい!という要望があれば、間取りや資金計画を出してもらう前に伝えておくとよいですが、全てにおいて指示することは現実的には難しいでしょう。
納まりや工法の関係からできる・できない、などの事情があることもあるため、個々の部位・仕様にこだわり過ぎず、ご自身が理想とする目的をご家族内で議論するとよいでしょう。
4.まとめ
暑熱対策として涼しく過ごす家の条件やポイントを紹介してきました。
昨今は年々暑さを増して、暑さが堪える日が続きますが、こちらの記事を参考に、年間を通じてすごしやすい家を考えてみましょう。
当社では、夏涼しく・冬暖かい家を建てる会社を紹介していますので、気になった方はぜひご覧ください。