ひと昔前までは両親と同居するのが普通であり、住みたい家や住みたい場所の選択肢は限られていました。しかし、働き方や家族の形に変化もあり、従来のような限られた選択肢だけではなくなっています。
住みたい家や住みたい場所の選択肢が増えた今、家を重要視するべきか、場所(土地)選びを重要視すべきか様々な意見が行き交っています。
その意見は賛否両論あり、理由は人の価値観によって左右されるものだからです。
例えば、
「アパートは資産にならないが、家は資産になるからすぐに家を建てたほうがいい。」
「家は一度住むと価値が落ちるから、土地選びを重視したほうがいい」
「難しいことは置いといて、自分たちは好きな環境で好きな家に住みたい」
「家はステータスだからとりあえず家を建てる」
等のさまざまな意見があります。
これらはどれも間違いではありません。
育ってきたありとあらゆる環境により形成されている価値観によるものだからです。どれも一人ひとりにとっては正しいことなのです。
住みたい家と住みたい場所を選択する上で最も重要なこと
ここで、住みたい家と住みたい場所を選択する上で最も重要なことを伝えます。
「何のためにその場所に住み、何のためにその家を建てるのか」
重要なことの延長線上に「予算を家と場所のどちらに振るのか」があります。そして、ご夫婦であるなら配偶者と、2世帯であるならお父さん、お母さんと話し合うことが大切です。
もちろん、意見が衝突することもあります。配偶者とは育ってきた環境が違いますし、お父さん、お母さんとは育ってきた時代が違います。
住みたい家と住みたい場所は、これから長く生活するところ。誰にとっても妥協ができないのも分かります。お互い折り合いをつけながらも、相手を尊重することが大切です。しかし、「何のためにその場所に住み、何のためにその家を建てるのか」が明確でないと話し合いが進みません。
まずは、あなた自身が家や場所について考えられるように「住みたい家と住みたい場所のどちらを重要視するかで期待できること」を紹介します。
住みたい家を重要視する
住みたい家を優先することで期待できることは「家の設計が自由にできること」です。
外観はもちろん、内装もこだわりのある家を建てることができます。自分の描いたマイホームが現実になるというワクワク感は、何ものにも代えがたいものではないでしょうか。
家に予算を振ると何ができるのか紹介します。
第一印象を決める外観
家の外観は仕事から帰ってきた時や家の前を通った時、まず目に入るところです。
パッと見た時の家の第一印象が決まるので、壁・屋根の材質や色にもこだわりたいですよね。材質により色やデザインのバリエーションの多さも違います。また、材質によって防火性、耐久性、耐震性、耐熱性といった優れている点も異なります。
また、玄関までのアプローチや玄関の見た目も、あなたの好みで選ぶことができます。
高気密高断熱にこだわった室内環境
高気密高断熱住宅は、外気温の影響を受けず温度を一定に保つことができます。
よって、冷暖房の効率がアップしエアコン一台で過ごすことができます。
エアコン一台で過ごせると各部屋でエアコンを稼働させる必要もなく、省エネにもなり、冷暖房機器を購入するコストもかかりません。
また、気密性が高いと花粉やウイルスの侵入防止、結露の予防にもなります。加えて、ヒートショック防止もできます。ヒートショックとは部屋に大きな温度差があることにより血圧や脈拍が大きく変動すること。心筋梗塞や脳梗塞などの病気を引き起こすリスクがあり、命に関わります。
高い気密性のある家であるかを判断するのが気密測定です。
気密測定とは「家のスキマ面積を専用の機械によって測定すること」をいいます。この数値が高いほどスキマが多く、外の風や熱が家の中に入りやすい状態。気密性は隙間相当面積(C値)で表され、0に近いほど理想となっています。 カタログに気密測定の値が記載してあっても、建てた家がその数値とはかぎりません。しっかりこだわるのであれば気密測定をする会社に依頼をすると安心で納得できるでしょう。
家族構成や希望に添った間取り
間取りは家族構成や希望によって、各部屋の広さと数が決まります。
「家族がくつろげるリビングルームを広くしたい」「キッチンのスペースを広くして料理を楽しみたい」「ランドリールームをつくりたい」などなど。想像するだけでも夢が広がります。
お子さんがいらっしゃるなら、子供部屋を作りたいですね。近年は大きくなった子供でも、顔が合わせられる動線づくりに配慮している家もあります。
2世帯であれば、どこからどこまでを共用とするのか、または別にするのかを決めることができます。玄関・水回りなどを一部共用することや、玄関の入り口から別にする完全分離もあります。
好きなデザインに囲まれる内装
もちろん内装もこだわりポイント。木のぬくもりを感じられる内装や、シックな内装、ビンテージ感のある内装も好みで選ぶことができます。
床、天井、壁紙、ドア、窓、階段など、すべて好みの内装で出来た家は住むうえで満足度が高いのではないでしょうか。洗面所やキッチン、お風呂といった水回りも好みのメーカーが選択できます。加えて、家具も内装に合わせて選ぶことができ、統一感のある家づくりができます。
家は過ごす時間が長い場所。だからこそ、好きな雰囲気と家具に囲まれて充実した時間を過ごしたいです。
趣味が活かされる庭
庭は趣味や好きなことができる身近な場所。
ガーデニングが好きな方は鮮やかな季節の花を手入れされています。花でなくても、玄関までのアプローチに緑の植物があると心が癒されますよね。家の見栄えをワンランク上げることができると言っても過言ではありません。
空いたスペースを活かして家庭菜園を楽しまれている方もいます。 また、芝を養生し、子どもの遊び場やゴルフの練習場にするのも楽しみが増えます。
住みたい場所を重要視する
住みたい場所を重要視することで期待できることは「外の時間も充実すること」です。
家を建てた後、家の中だけでは過ごしません。外で生活する時間もあり、その時間をどのように過ごせるかでその土地に住む充実度が変わります。
土地はまっさらな土地から畑や空き家などのある売地も選ぶことができます。
まっさらでない土地は解体費用や埋め立て費用がかかります。しかし、費用がかかっても選びたい理由がその土地にあるなら、住みたい家よりも住みたい場所に費用をかけるべきなのではないでしょうか。 土地を優先することで、外の時間がどのように充実するのか紹介します。
近隣施設は生活の豊かさに直結
生活に必要なスーパー、生活必需品がそろっているドラッグストア。当然、車を走らせればどこにでもありますし、職場からの帰り道でさえいくつかお店はあると思います。しかし、家のすぐそばにあるのとないのでは住みやすさが変わってくるのではいでしょうか。
そして病院の近くの土地を優先する方もいるでしょう。病院は健やかな生活と切り離せないもの。持病のある方や歳を重ねた先を考えた時。今お子さんがいるご家庭や2世帯を予定している方も。病院が近くにあると安心ではないでしょうか。
好きなことが徹底的にできるスペース
土地を優先することで、好きなことが徹底的にできるスペースも確保できます。
本格的に野菜を育てたいという夢があり、広い畑をつくっている方もいらっしゃいます。自分で育てた新鮮な野菜を食べる喜びが実感できます。
バイクや車が好きな方は駐車するだけでなく、手入れもできる十分な場所も作ることができます。好きなものが手入れできるスペースがあると、以前よりもっと大切にすることができます。
ご自身やお子さんが楽しめる庭もできます。バスケットゴールを設置できるスペースや、キャッチボールができる広さの庭など。BBQができる庭もできます。土地をどのように使うか、どの大きさの土地を買うかで自由度が各段に変わってきますよ。
用途に応じた交通アクセス
遠くへ出かけるのが好きな方は、バイパス付近の土地を選ぶ方もいるでしょう。休日に出かけることで気分転換になるのはもちろん、新しい刺激を受けることは人生において成長するきっかけにもなります。
車よりもバスや電車といった公共交通機関を使いたいという方もいらっしゃいます。駅周辺施設はお店が充実しているので、ついでに買い物などができますね。いざという時に公共交通機関が使えるのは、その立地に住む人だけなのでぜひ、考えてみてくださいね。
自分と家族のライフスタイルにマッチ
土地を優先することで自分と家族の通う趣味といったライフスタイルに添うことができます。
例えばジムに通われている方ならば、通える範囲の土地を選べば継続的に通うことができます。配偶者がいらっしゃるなら、その方の趣味も考えることができます。
また、お子さんがいらっしゃるなら学校や習い事も考慮できます。学校はお住まいの地域によって通うところが区切られています。学校の評判や雰囲気によっては、通ってほしい学校はあるのではないでしょうか。
2世帯であれば、ご両親の健康のことを考えます。家の中にこもらず外で過ごす時間があるかないかで、健康に過ごせるのかも変わってきます。また、病気を抱えていらっしゃるのであれば、リハビリができる場所や日中過ごすことができる場所も重要です。
何のためにその場所に住み、何のためにその家を建てるのか
住みたい家と住みたい場所、それぞれ優先したら期待できることを紹介しました。
紹介した内容を考慮した上で、最も重要なことである「何のためにその場所に住み、何のためにその家を建てるのか」を考えてみましょう。考えたらどこかに書き留めておくのもポイントです。気持ちや頭の整理になります。加えて、家や場所選びに迷った際はそのメモを見れば、原点に戻って考えることができます。そして、重要なことの延長線上に予算を家にふるのか、土地にふるのか変わってきます。
家と土地はあなたと家族がこれから長く過ごす場所。一緒に住まれる家族との話し合いが大切です。お互いの考えを話し合うことで、満足のいく家と場所選びができるでしょう。